システム構築屋から見る豊洲新市場問題

Gakuです。
久しぶりの投稿です。

仕事辞めてから暇で暇で仕方ないので、お昼のワイドショーを見まくっているのですが、豊洲新市場の欠陥問題がどんどん浮彫になっていますね。
そんな中、建築とシステム構築の炎上プロセスって同じなんだろうな~って感じたので、その所感をまとめたいと思います。

まずは豊洲新市場の問題点のおさらい

良くテレビでは「盛土されてない問題」ばかり取り上げられていますが、それ以外に様々な問題が上がっています。

・塩水禁止
・マグロが切れない
・側面が開くトラック未対応
・ヘアピンカーブ問題
...etc

とまぁ、いろんな問題があります。
詳しくは下記の記事を参照ください。
[blogcard url=”http://netgeek.biz/archives/81240″][/blogcard]
[blogcard url=”http://spinout-kj.com/shintoyosusijo-kekkan-4254/”][/blogcard]

ちなみに、総事業費は5800億円で東京スカイツリーは650億円なので桁違いなことがわかります。

システム構築屋がこの問題を見て思うこと

建築とシステム構築の開発手法は同様のもの(ウォーターフォール手法)が使用されており、システム構築屋から見た問題点はここじゃね?ってのをまとめてみます。

エンドユーザー?何それ?

豊洲新市場欠陥問題の登場人物は下記の三者で考えます。

・東京都・中央卸売市場(発注者)
・建設業者(受注者)
・漁業関係者(エンドユーザー)

発注段階

何を建設するにしろ、まず建設業者に発注を出さなければいけません。
発注は主にトップ層で行われるので漁業関係者は蚊帳の外の傍観者です。
【発注段階の図】
1
と、まぁこんな感じですね。
システム開発の場でも、既存システムの問題点はエンドユーザーから上がってきますが、作る作らないは経営層が判断することなので、末端のシステム使用者は「え?作んの?」っといきなりプロジェクトが発足することがほとんどです。

要件定義段階

建設業者は建設の発注を頂いたら期限付きで要件のヒアリングを行います。
【要件定義段階の図】
2
この要件定義段階は本当に重要な工程です。ここで期間を削減したりすると図のような状況になります。
重要な点は東京都・中央卸市場の発注者があまり漁業関係のニーズを把握していない点です。
もし、ここで期間を長くとって隅々まで問題点、ならびに漁業関係者のニーズを拾い上げていたとしたらここまでの問題にはならなかったかもしれません。
システム開発でもこのような場面が良くあり、そういったプロジェクトは破たんの道しか存在しません。
要件定義の段階では、建設業者は漁業関係者のニーズや現築地市場のことは何一つわかっていません。
この工程で「建設業者が全部やってくれるし、頑張ってくれな~」っと気楽に東京都・中央卸市場の方たちは考えていたのではないでしょうか。

設計工程

さて、要件定義段階があいまいな結果に終わりました。
「なんとなくいけるんじゃね?」な雰囲気でプロジェクトが遂行されていきます。
建設業者は要件定義工程で得た要件の内容から具体的な設計を起こしていきます。
そして完成した設計を元に御見積結果を提出します。
こんな感じで。
3
はい。御見積なんてこんなもんです。
50階構想ビルの建設をこの会社は過去に何度か建設した実績があったとしましょう。
御見積は過去の実績を元に算出するため、新しく50階構想ビルを建設するといったことであるならば、正確な御見積を算出することが可能です。

しかし、市場の建設は初めてのことだったのでしょう。
そういった場合、何もわかりませんので安全工数と題し算出した御見積*2倍とかで御見積を顧客に提示します。
もし、プロジェクトが破たんした時にどうとでも修正できる金額は欲しいですからね。
(また、顧客が価格交渉をすることも踏まえ2.5倍ぐらいで出しているかも知れませんね。)
そうやって、どんどん御見積金額が膨らみ顧客へ提示します。
4

はい。設計後の御見積結果を見ても発注者なんてこんなもんです。
何も考えずにはんこぽ~んです。
全てがあいまいなままプロジェクトが遂行していきます。
東京都・中央卸市場は金額が高額なせいか建設業者を信頼しきっており、かつ、建設業者は「東京都・中央卸市場が言った要望は全て入れた!」の精神ですので、問題点なんて上がってくるわけがありません。
このプロジェクトで漁業関係者のことを考えている人なんて誰もいないのです。
もし、この時に東京都・中央卸市場の関係者が少しでも漁業関係者にヒアリングする期間があればこのような結末にはならなかったかもしれませんね。
まぁ、建設業者が事細かく設計内容を説明するわけでもないですし(事細かく説明して突っ込まれるの面倒ですからね。)、東京都・中央卸市場の関係者が問題を把握しろ!っていうのは横暴な気もしますが。。。

建築工程

晴れて設計もOKを頂けましたし建設業者は実際に施設を建設していきます。
この時、豊洲新市場建設事業は長期間の建設事業ですので、東京都・中央卸市場に安心してもらうために中間報告を逐次提出します。
その際、問題が多発するわけです。
5

はい。東京都・中央卸市場はこの機に及んでも毎回要望を出してくるわけです。
実際の建築物を見て、東京都・中央卸市場は不安になったのでしょうね。
漁業関係者に「こんな風になってるんだけど大丈夫?」とやっと聞きだしたのはいいのですが、この時点ではすでに遅しです。
設計が完成しているので、一つの施設を変更するのに多大な金額が必要になってきます。(一つの施設の設計変更で他の施設の設計も見直さないといけませんからね。)
まぁ、建設業者もクライアントが「必要」と言っているものは無視できませんからね。
できる限り設計を見直し建設を進めていきます。
その心境に付け込んで、お金に糸目の無い東京都・中央卸市場は言ったのでしょう。
「盛土とかもったいなくね?地下空間有効活用しようや(ドや!)」
こんな感じで盛土もなくなったのでしょう。

建設工程時点で設計の見直しをすることは想定していないので、いろんなところで問題が発生します。
問題点を建設業者は報告はしますが、何も考えていない東京都・中央卸市場は「お、そんなんでええんちゃうか」でプロジェクトが進んでいくわけです。
地獄絵図ですね。。。これが豊洲新市場欠陥問題の顛末だと考えています。

おわりに

まぁ、あくまで想像の話ですし、僕も豊洲新市場のことを詳しく調べたわけではないので、本当のことはわかりません。
ちょっと前に地元の建築業者の社長さんと飲む機会があり、いろいろお話を聞かせて頂いたのですが、
「どうしてこうも高い金額を払ったのに使いにくいシステムになるのか見当もつかない。今までに2度も作り直したが、本当に使いづらい。今回は期間も伸ばしたのにもっと使いづらくなった」
と話していらしたのを聞いて、この記事を書こうと思いました。
今回は豊洲新市場の件で炎上プロセスについて解説しましたが、これはシステム開発でも同じです。
システムを外注しようと思っている経営者の方に、少しでもプロジェクトの進め方の心構えを考えて頂ければ幸いに思います。
SIerに救いを。。。